アジア古来の哲学と自然と芸術

彩流華 華林苑

Sairyuka art and old Asian philosophy rooted in nature.

華林苑 花日記


 

2025年03月25日(火) 華林苑 花日記

華・絵・器 … の作品集が出版されます。バナーをクリックしてみてください。

トップ画面のバナー(項目)をクリックしてみてください。数ページが表示されます。
アジア古来の伝統を解説しながらの作品集になっています。


 

2025年01月23日(木) 華林苑 花日記

北國花展より 入野月華 「月の花」

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軸の書「月の花」入野月華、花も
彩流華・月の華・椿  彩流華・日の華・松(いずれも巳型)
青銅器に
黒水盤の白菊一輪は、水面に映る月影
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2025年01月20日(月) 華林苑 花日記

速報版 北國花展 1月26日まで 

金沢市、金沢エムザ 8階  22日お休み 26日まで(前後期)
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華林  「海の力」
右/ 彩流華/風の華 椿  中/ 彩流華/火の華・巳型 松  左/ 白菊一輪
舟型の花器 陶/荒木実
絵/ 「満月」と「鯨(くじら)図」 廣岡理樹(華林)
  額装/永嶋明(金沢市、「現代の名工」に認定)
  生命を生み、風をおこし、陸地に雨をもたらす「海」、それは古くからとても貴いものとされてきました。そして「海の力」はさまざまなモノに比喩されてきました。ここでは「海の力」を鯨の絵と椿の華で、山・陸地を松の華で、「満月」と一輪の白菊で「宇宙の根源神」を表現しています。
  温暖化を筆頭とした待ったなしの自然の現状をよい方向に復活させるための文化の引き金となる力を、日本の芸道は秘めているのです。


  


 

2024年12月12日(木) 華林苑 花日記

華・絵・器 …  華林の芸術展2024 〝海の力、山の力〟 その1

今年も金沢市大工町の華林苑で「華林の芸術展」が開催されました。
数回に分けて、その様子をご紹介します。11月10日11日、石川県。

… 地球の表面の7割を占める海、その大海原を絶え間なく「風」が吹いています。そして地表の残りの3割が陸地、日本ではこの陸地の7割が山地となっており、森林の面積も陸地の7割に近いものとなっています。このような環境のなかで私たちは生活しています。
海は はじめて命を生み出し、今でも命をはぐくむ原動力となっています。海上をめぐって吹く風が陸地に上がり、山を昇って雨=淡水をもたらします。古来、海の力は絶大なものとされ、さまざまな象徴的な姿や言葉でその力を貴んできました。
 〝海の力、山の力〟を「華、絵、器」で表現します。それは切実な環境問題の本質を理解することにもつながるでしょう。 …

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海‐潮岬にて、写真/華林
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山‐玉置山にて、写真/華林
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華林苑の玄関に飾られた「鯨図」華林画。和歌山県潮岬は古来、クジラがよくみられる。太地など一帯はウミガメなど多くの生物が黒潮に乗ってやってくる。外国の人々も古代以来何度もたどり着いたことだろう。本州の最南端で南国情緒がただよう。そこから紀伊半島の南側の山地丘陵を一気に駆け昇ると、奈良県の南端、玉置山となる。古来、強烈な信仰の対象となった場所でもある。
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小部屋の一つに独自の世界を展開。『縄文女神』『縄文男神』(華林画) の大きな額に陰陽の巳型の彩流華を生ける。巨大な祖霊が山に鎮まる。椿と松の彩流華/土橋白華。
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もう一つの小部屋には五行、木火土金水の気を表現する五軸(華林画)に、同じく陰陽の巳型の彩流華を生ける。宇宙の力とともにある天祖。
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この部屋にはいくつかの作品が軸とともにならんだ。これはアジア古来の吉祥の形に生ける「禮華」。テーマにそった書『鯨・クジラ』(はくを筆) にあわせている。森川理青。シイノキ、椿の枝に花もの、実をあわせる。 


 

2024年05月23日(木) 華林苑 花日記

金沢市で開催中の花展より

5月28日まで 香林坊大和 石川県いけ花文化協会展 廣岡理樹として出瓶
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華林作の青銅造形と抽象書軸に
アスナロの彩流華・風の華、2華
彩流華巳型・椿とナツハゼ
彩流華巳型・赤松
金神(ミロク)面/青銅 = 華林(廣岡理樹)
軸『円相-風』 = 華林(廣岡理樹) 軸装と裂(復元加賀梅染) = 永嶋明


 

2024年03月23日(土) 華林苑 花日記

キブシをヨーロッパのガラス器に

春に1週間ていど、美しくつらなって下がるキブシは水気の多い場所に目立ちます。以前には、新潟の弥彦山ですごい数のキブシをみつけ感動したことがあります。
これはこの3月に金沢市の金沢エムザで開催された花展で、廣岡理樹の名前で出品したものです。
書(絵?)は『巳』=ミ、へび。
キブシ、桃、椿。ドイツらしい表情のガラス器と陶鉢に。
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2024年01月19日(金) 華林苑 花日記

復興への祈り 〝縄文女神と縄文男神の復活〟

金沢エムザで開催中の北國花展より ←終了しました
華と絵など/華林=廣岡理樹として出品
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中央/ 彩流華 剱の華・椿一色 銅薄端
左/ 彩流華 月の華・巳型 椿一色 陶壺
右/ 彩流華 日の華・巳型 松一色 銅鉢(火鉢)
絵「縄文女神」「縄文男神」:華 林(各額の幅は80㎝ていど)   額装:永嶋明
壺とライトのインスタレーション
  … 能登半島地震  慰霊と復興への祈り …


 

2023年12月06日(水) 華林苑 花日記

華林の芸術展2023 無事終了しました。ありがとうございました。

11月22日~24日に華林苑=金沢市大工町で開催された同展は無事盛況のうちに終了しました。
厚く御礼申し上げます。
後日、作品集ならびにWEBでの全作のご紹介を予定しております。
写真は同展より。20231206214307-karinen.jpg
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2023年09月05日(火) 華林苑 花日記

墨絵(軸)/三本足の烏(からす)  華/彩流華 剱の華・椿一色  器/舟形の陶器  いずれも華林作(器は意匠)


古来の強い信仰、文化の地・紀伊半島の熊野。その象徴として登場するのが「三本足のカラス」。有名な熊野三山の熊野牛王神符にも『カラス文字』として登場、また日本のサッカーチームのエンブレムにもなりました。
熊野は日本の床の間の伝統文化の一つの起点である中世・東山文化の担い手『同朋衆』(阿弥衆)の原点でもあります。その絵に、アジア古来の哲学にそった渦を表現する生け花『彩流華』を生けています。
 8月27日 古流会館(豊島区駒込)にて 古流・廣岡理樹(=華林)として出品
 
写真を大きくするときはクリック、タップしてください。
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2023年08月13日(日) 華林苑 花日記

十一面観音像をみて

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若いころにときどき訪れていた山の下山仏だという十一面観音像の御影(写真)を新聞でみて、なんとなく生けた椿一色の華。
似ていない … ですよね。


 

2023年08月07日(月) 華林苑 花日記

アスナロを一枝

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教室の入り口のお軸にアスナロを一枝。いただいた紫苑の小さな小枝を添えます。


 

2023年07月29日(土) 華林苑 花日記

野生のユリ … 大きくて特異な表情の〝ウバユリ〟

 山野に咲く日本の野生のユリは、花が大きかったり色が激しかったりでよくめだちます。
 これはウバユリ。大きくて特異な表情です。咲き始めで上品なよい香りがします。もっと咲くとふつうは茎が伸びて花と花の間隔が大きく開いてきます。
  花店のオレンジ色のスカシユリと合わせ、黄色のスターチスを少々。ウバユリは花が咲くときは葉が枯れ始めていることが多く、まだ葉柄に緑色が残っている葉をあえて添えました。
  野生の草花は魅力的です。お似合いの器をさがして是非いけてみてください。
  花は華林。華林苑に古くからある壺に。
  写真を大きくするときはクリック、タップしてください。

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2023年07月20日(木) 華林苑 花日記

古流協会展(東京)で彩流華と古流の生け花を展示します

軸「哥の聖 柿本人麻呂」華林
華 彩流華 剣の華 椿一色 華林
東京、日暮里サニーホール
古流協会展
22日(土)まで。22日は午後3時30分まで。
詳細は『古流協会』で検索してみてください。
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2023年04月02日(日) 華林苑 花日記

「春の夕刻」

葉っぱ(椿)ばかり生けていないで、たまには季節の花をいけました。
廣岡理樹の名前で、絵に合わせて生けました。
八重桜、椿、小菊。お魚の壺は沖縄のもの?
お軸の絵「月に鳥」と 花/華林
4月2日3日 金沢市の金沢エムザで開催された花展にて
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2023年01月31日(火) 華林苑 花日記

『風神雷神・コンテンポラリー』 北國花展より

 左/ 彩流華 剱(金)の華 椿一色
  絵:『雷神図』
 右/ 彩流華 風(木)の華 椿一色
  絵:『風神図』 
   華と絵/樹心院 華林(廣岡理樹)
   表装/永嶋明(金沢市、「現代の名工」に認定)
解説/江戸時代の俵屋宗達による風神雷神図屏風は尾形光琳や酒井抱一による模写とともによく知られます。同様のテーマの絵はアジアなどで古くからみられますが、両者を対にしたのは日本ならではの感性でしょうか。古代では宗教的なテーマであったものが、近世では芸術のモチーフとなったのも興味ぶかいところです。背後には陰陽五行の哲学があり、江戸の文化人たちがそれに精通していたという事実は今日では忘れられているようです。
 華と絵は、風神雷神の根底にひそむエネルギーの形を、陰陽五行の哲学にそって表現したものです。
 (華林)

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2023年01月19日(木) 華林苑 花日記

北國花展より-1

入野月華 「双龍の舞」
彩流華・風の華×二華
 椿一色
絵「龍図」 華林  表装 永嶋明
同展は1月22日まで(終了) 金沢市、金沢エムザ20230119002959-karinen.jpg


 

2023年01月19日(木) 華林苑 花日記

北國花展より-2

東 真華 「禮」
彩流華・火の華
レッドウィロー、赤松、シイノキ、椿
中国古代の祭器・尊式の写しの銅器
書「禮」 東真華  表装 永嶋明
同展は1月22日まで、金沢市、金沢エムザ
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2023年01月19日(木) 華林苑 花日記

北國花展より-3

土橋白華 彩流華・巳型
月の華、椿一色  火の華、赤松一色
軸「西王母」華林
同展は1月22日まで 金沢市、金沢エムザ
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2023年01月11日(水) 華林苑 花日記

北國花展で彩流華と古流の生け花を展示します

 1月14日から22日まで金沢エムザ(石川県金沢市)で開催される北國花展で、華林とその門中による彩流華や古流の生け花が何作か展示されます。
 写真は昨年11月に金沢の華林苑で開催された華林の芸術展から、華林「風神雷神図屏風と五葉松の彩流華」(同展の作品集やユーチューブは制作中です)
 会期は17日までが前期、19日からが後期で大方の作品は入れ替えになります。18日は生け替えのためお休み。(終了しました)
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2023年01月04日(水) 華林苑 花日記

お正月に古い白山社の神前に生けました。

献花:森川理青
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2022年10月28日(金) 華林苑 花日記

彩流華・剱の華 東森久華さん

能美市文化祭での作品です。(石川県)
中央はシイノキ(剱の華)、左右に小さくアルストロメリア、ナンバを紅白に。
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2022年06月08日(水) 華林苑 花日記

初夏の「直立型応用花」です。

枝はナナカマド、三つ葉ツツジ、マルバノキほか、花はギガンジウム、キョウカノコ、スカビオサ、足もとに八重のドクダミを挿しています。
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2022年06月02日(木) 華林苑 花日記

花展の華 5月 金沢市 その5

彩流華 華林
風の華・三華  アスナロ(アテ)、赤松 鉄鋳物三管
剱の華・掌華(小さい花) ツバキ
金神(ミロク)面(陶)/華林(焼成/荒木実)
軸「風神」/華林
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2022年06月02日(木) 華林苑 花日記

花展の華 5月 金沢市 その4

彩流華 剱の華 と 掌華  ナツハゼ、アスナロ、アカマツ、ツユクサ(月草)
土橋白華
陶花器舟形、那智黒石樹脂成型
絵「𩵋図」/華林
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2022年06月02日(木) 華林苑 花日記

花展の華 5月 金沢市 その3

彩流華 土の華 ツバキ、ほかに花五色
東 真華
陶花器 意匠/華林
書「三本足の蛙」/東 真華
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2022年06月02日(木) 華林苑 花日記

花展の華 5月 金沢市 その2

彩流華 剱の華 ツバキ一色
入野月華
陶花器 意匠/華林
書「白鷺」/入野月華
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2022年06月02日(木) 華林苑 花日記

花展の華 5月 金沢市 その1

禮華 森川理青
ナツハゼ、ヤマボウシ、赤松、ほか 陶花器 意匠/華林
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2022年04月06日(水) 華林苑 花日記

花器の移り変わり

 江戸期における花器の好みの移り変わりは、その時代の風潮もあらわしていて興味ぶかいものがあります。
 写真は享保五年・1717年の奥付がある『立華道知辺(みちしるべ)大成』のページです。この書は立花の作品図が39点、なげ入れ調のものが4点、ほかに床飾りや道具、その他の図も少なからずあり、解説文だけの頁も多く全部で65頁と、このころのものとしては大部のものです。
 享保年間は江戸前期から中期に移るころで、その半世紀後の明和年間には後に一世を風靡する生花(せいか)がぽつぽつとみられ始めます。享保年間は立花が全盛の時代に生花(せいか)の前段階とも言うべき「なげ入れ」が目立ち始めるといったころでしょうか。この「なげ入れ」調の花は、そのころ増えていった床の間・書院や違い棚などの近世の和風空間によくマッチしており、大広間などで生けられた立花とは違う展開をしていったことがよく理解できます。
 さて、この書の立花の図39点のうち23点は、花器は立花の古図によくみられる口が広がる形をしており、絵の感じでは唐物ふうの青銅器でしょうか。当時のこの種の青銅器は打ち出しが多かったかもしれませんが自信はありません。残りの9点の立花の図の花器は洒落たものやかなり凝ったもので、青銅ではなく陶磁も混じっているかもしれません。形もかなりバラエティーに富んでおり上の写真もその一点です。砂の物3点にも洒落た器がみられます。また、洒落た器の図は解説文をはさんだ後半にまとめてあり、編集の意図がみられます。
 下の写真の花器の図では、上段には青銅や陶磁と思われるものが多く表情は硬め、下段では竹や篭など柔らかい表情のものが目立ちます。他のなげ入れの書もあわせてみると、唐物あるいは唐物風の固い表情のものから、時代とともに柔らかい表情の器が占める割合が多くなっていることが分かります。それと同時に、なげ入れや生花に特有の生け花に詩歌をあわせる形では、漢詩から和歌へと比重が変化していることも分かります。つまり、国風化の流れがみられるのです。
 平安時代に経験したような国風化の流れが、生け花の周辺の文化でも江戸時代中期以降ふたたび顕著にみられることは特筆すべきことかもしれません。それは「国学」の隆盛とも軌を一にしています。
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『立華道知辺(みちしるべ)大成』から立花の図と花器の一覧。詳細は本文に。前々回にも言及。


 

2022年03月22日(火) 華林苑 花日記

聖徳太子と秦河勝

 前回は池坊つまり六角堂=頂法寺についてふれましたが、この華道でよく知られるお寺は聖徳太子にゆかりの古刹であることもよく知られています。その由緒についてはウェブ上などで容易に知ることができるのでここでは触れませんが、その聖徳太子とふかいかかわりがあった人物に秦河勝(はたのかわかつ)がいます。近年ではこの人物に対する関心がおおきな高まりをみせているようです。聖徳太子と秦河勝は文化の深層にあっても表裏一体の関係にあった、そんなふうに言えます。
 京都・太秦の弥勒菩薩像でよくしられる広隆寺は秦河勝にゆかりのお寺とされますが、地名の太秦(うずまさ)もまた『秦』の字がもちいられ、秦氏に強いつながりがあった地域なのでしょう。ちなみに、『太』のほうの漢字も本来は「ウズ」とは読めず、渦=ウズが貴い、の意から来たよみとされます。記紀では「貴」もまた「ウズ」とよませています。貴・太をウズとよませるのは万葉集や記紀が成立する古い時代にはじまると考えられるでしょう。ちなみに、作家の岡本太郎が注目した縄文土器の渦巻紋が、具体的に「渦=貴い」を視覚化して理解するのにはよさそうです。(「太」は太一や太白、太陽、太陰など、古くは非常に貴いものに用いられた字)
 世阿弥が秦河勝を能の祖とした話は有名ですが、そこでは芸道全般の祖というニュアンスで語っています。世阿弥は『阿弥衆=時衆』とされることがありますが、その謡曲集(金島書など)には阿弥衆ならではの内容がみられ、やはり阿弥系の文化の系列とみるのが自然でしょう。
 世阿弥からくだること半世紀前後、日本の床飾りや生け花の原点とされる室町時代の東山文化の担い手がやはり阿弥衆(同朋衆)でした。そんな観点からみると、中世の阿弥衆(時衆)が強い哲学を持って日本の文化をリードしていった、そんなふうにみることができます。それはその時代=中世では「武家文化」とよぶことができます。
 そして阿弥系の文化の原点といえば、阿弥衆の祖、一遍上人に求められます。
 一遍上人の伝承では熊野に参籠して熊野権現の啓示を受けるのがクライマックスと言えますが、聖徳太子の墓所にも参籠しています。一遍上人絵伝では、細部は違っても太子の墓所は今日の姿をはっきりと重ね合わせることができ、尋ねたことがある人にはちょっとした感動を呼びそうな場面です。
 深層の部分では、生け花を含む日本の芸道の一つの流れの精神的なルーツが、阿弥衆をとおして、あるいは寺院の歴史などをとおしてさまざまに聖徳太子に、秦河勝に結びついてゆきます。さらにそこには、謎に満ちた聖徳太子の存在や天智・天武天皇の時代に激変した日本の文化など、驚くべき歴史の真実が隠されているように思われます。
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『十五夜・太子図』/華林画
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大阪府太子町の聖徳太子墓所。(叡福寺北古墳)

註)阿弥衆・時衆は研究者にとって非常に魅力的なテーマのようだが、見解も分かれているようだ。私見では、中世・室町時代までの時衆・阿弥衆は不思議な文化をもち、芸道文化に長けた不思議な人々のネットワークだったと考える。僧侶と芸道者、文化人は今日のように明瞭に区分できるものではなかった。神仏混交でもあり、今日的な宗教の概念で考えることはできない。また時衆による踊念仏が盆踊りのルーツといわれている。
註)聖徳太子信仰は今日でも天台宗や浄土真宗など複数の宗派に強くみられ、真言宗の祖・空海にも聖徳太子にまつわる逸話が数多く見られる。


 

2022年03月09日(水) 華林苑 花日記

立花の出版事情


 華林苑には江戸時代などの立花(りっか)の版行本や巻物もあります。元禄のころから明治中期まで長い期間のものがあり、需要が続いていたものと思われます。とくに元禄や享保など比較的早い時期のものが多いように思われます。つまりは、「なげ入れ」や「生花=せいか」が流行する前の時代に、より需要が多かったということでしょうか。(サンプル数が少ないので一般に言われる歴史と照らし合わせての話ですが)
 元禄二年・一六八九の奥付がある『立華和要集』は現在のB六判ていどの小さな本ですが、作品図には四~六色と思われる彩色がなされ、出版物の彩色としてはかなり早期のものと思われます。ただ、絵の具の質がいいのでしょう、早い時期の彩色は色あせずに今日まで残っているものが多いようです。和要集のタイトルは、他の分野でも似た題名の本があるので流行りだったのかもしれません。
 立花の書には著者名がないものが多く、出版社=書店名だけが記されています。市中の人々のなかで広がりを見せた立花の隆盛の実情をかいま見ることができます。そしてこの書には出版社名もありません。著者のものと思われる印だけがみられます。
 享保五年・一七一七年の奥付がある『立華道知辺(みちしるべ)大成』は現在のA5判ていどでやや大きく、『摂津書肆 伊丹屋○○』の奥付がみられますが、やはり著者名はどこにもみられないようです。こちらは単色刷ですが解説文も多く、違い棚などの飾り付けや花器、三つ具足その他のさまざまな道具の図も豊富にみられ、そこには「なげ入れ」ふうの花もあり、かなり踏み込んだ内容となっています。ちなみに、この書肆の名前はネットで調べても登場せず、似た名前は天明年間にようやく登場しています。
 明治期の本も少なからずあるのは、花店や門徒が「報恩講」などの宗教行事のさいに仏前に生けるためのテキストであった場合が多いのでしょう。家元制度が徳川幕府の文教政策として定着するのは江戸時代中期で、それ以前に一般に広くなされていた立花は特定の流派のものではありませんでした。後に立花以外の花で「流派」を〝旗揚げ〟する家元たちの多くが、同時に立花もたしなんでいたものと思われます。今日では立花といえば特定の流派を想起する人も多いようですが、単一の流派にとどまるものではなく、複数の流派で生けられています。そのなかでも、「池坊」(六角堂=頂法寺、天台宗系の寺院)の僧侶が名手として、複数の名前が歴史上、知られています。


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『立華和要集』元禄二年・一六八九の一頁。松と竹を並立させて真(身)としている。五~六色で彩色している。


 

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