アジア古来の哲学と自然と芸術

彩流華 華林苑

Sairyuka art and old Asian philosophy rooted in nature.

華林苑 花日記


 

2021年06月22日(火) 華林苑 花日記

立花の巻物

 華林苑には江戸期、明治期のさまざまな生け花の書物が残されています。
 写真は立花の巻物です。板行されたもので、奥付(奥書)に出版者の名前があり、柏屋藤九郎と読めそうです。立花家の大住院以信は江戸前期に活躍した名手と言われた人で、この巻物は、以信の花を主に若干の門弟の花をくわえた絵図=作品集から木版をおこしたものかと考えられますが、正確なところはわかりません。残念ながら保存状態はあまりよくありませんが、絵そのものはとても美しい刷色のままです。江戸時代の技術には驚かされます。
 立花は室町時代にはじまった花で、室町将軍家の同朋衆のいわゆる古立花(後世に想像で描かれた図はありますが、謎の花とされます)より少し後の時代にはじまったものです。花会などで華美さを競い一世を風靡しましたが、同朋衆の「床の間の花」や江戸初期~中期の「なげ入れ」の考え方とは違い、書画・和歌などの軸と合わせて生けるものではありませんでした。
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2021年06月22日(火) 華林苑 花日記

桑 風の華

 桑(くわ)の木を彩流華・風の華の省略形、つまり一筆書きのような生け方でいけています。
 養蚕(絹織物)の木、またそのまま食べても美味しマルベリーの木ですが、東西の神話にも登場しさまざまな興味ぶかい側面がみられます。木材としても使われ、生薬(漢方薬)の材料にもなり、いくつかの言葉やいいまわしのもとになるなど文化満載の植物です。調べてみれば面白いかもしれませんね。五行の観点からは陰陽の交わりのなかで〝日〟つまり〝陽〟の性格の文化が強い木とも言えます。
 いただいた桑の木は水揚げが難しくほうほうのていで生けています。数年前の作品です。
 陶花器 … 意匠/華林 制作/前田弥冨  華/華林
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2021年06月05日(土) 華林苑 花日記

どくだみ の〝掌華〟

 小さな生け花を、手のひら(掌)の華、〝掌華(しょうげ)〟と呼んでいます。掌華では野生のもの、庭のものなどが美しい表情を見せます。大切なのは器えらび。今回は意図あって黒い器をえらんでいます。
 生けた場所は金沢の華林苑、6月4日。金沢では今がドクダミの花のさかりです。
 一重のドクダミ、八重のドクダミ、葉はそっくりです。八重のほうの器は意匠・華林、制作・前田弥冨。一重のほうはかつて金沢の郊外の倶利伽羅峠のふもとの道の駅のような場所で求めたと記憶しています。(華林)
  華/東 真華

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2021年05月22日(土) 華林苑 花日記

ユズリハ(杠) の新緑

 今年の葉が成長すると去年の葉がいさぎよく散ることからきたとされるユズリハの名前。若い葉の赤い葉柄が柔らかい緑に映えます。
 彩流華・なげ入れ調 … ユズリハ、バイカウツギ、レースフラワー
   陶花器 … 意匠/華林 制作/前田弥冨  華/華林

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  上の日付は投稿日で、生けた日ではありません。季節の花、季節をやや先どりした花を過去の作品から選んでいます。

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2021年05月22日(土) 華林苑 花日記

ミツバツツジの新緑  なげ入れ調

若い葉が赤みを帯びる木はよくあります。新緑と呼べるのか、その一歩手前なのか‥‥。赤い色素はまだ弱い葉の組織を紫外線の害から守るため、とも言われます。切れ込みが大きい赤茶と緑の葉がミツバツツジ。花が咲いた後です。
彩流華・なげ入れ調 … ミツバツツジ(葉)、ノリウツギ、アスチルベ、アトランティア
陶花器 … 意匠/華林 制作/前田弥冨  華/華林

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2021年05月22日(土) 華林苑 花日記

菖蒲を生ける なげ入れ調

 菖蒲は花菖蒲=ハナショウブとよく間違われます。それもそのはず、菖蒲に似ていて花がまったく違う豪華なもの、という意味のネーミングです。どちらも池に生え、もともとは凛とした姿の葉が喜ばれたものと思われます。古代に青銅の剱が尊ばれたのと似た感覚でしょうか。
 菖蒲は菖蒲湯などで知られます。花はサトイモ科らしい特徴をそなえていますが、地味なものです。いっぽう花菖蒲はアヤメやカキツバタなどの仲間で豪華な花ですが、江戸時代からさかんにつくられた園芸品種、つまり交配で生み出された人工的な植物です。
 同じ水草のカラー(海芋、花と葉)をあわせて古い打ち出しの「薄端」に生けています。
(華は華林) 

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2021年05月22日(土) 華林苑 花日記

紫陽花の季節の禮華

  数年前に生けた禮華です。カエデ、ガクアジサイ、ヤマアジサイ、ススキを生けています。
  じつはこれ、いただいた花材です。一時期は自分で、あるいは切り出しの方と一緒に山野で切った花をさかんに生けていた時期があり、野生のもので水揚げのよいもの、悪いものなどあるていどは頭に入っています。また美しい植物は、生えている場所にも独特の生き生きとした雰囲気があり、そんなことが生け花の原点だと痛感します。
  いただいたカエデなども、その方(蘆原様)がお住まいの地が生き生きとした場所であることを思わせました、金沢のやや山手です。
  (華と陶器などの意匠は華林) 

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2021年05月20日(木) 華林苑 花日記

五軸(五幅対)

 「五行」はアジア・日本の古い哲学です。ここからさまざまな文化芸道、あるいは宗教のあり方が生まれています。
 五行のそれぞれを、つまり木火土金水の在り方を一筆書きのように『円相』として数年前に描きました。そして昨年の金沢市での花展で、この五軸に華を生けました。よく似たころ、東京・元赤坂でのイベントでは、もう一つの五軸を飾って花を生けました。
 五行を表現するものを左右に一列にならべるのは、鎌倉時代のころからはじまったかと考えています。(調べれば、もっと古いものが出てくるかもしれません)それ以前は、東西南北と中央、あるいはそれを平面的に大きな軸に描く、といったものだったようです。
 たとえば「五壇の法」とよばれるものも、鎌倉時代あたりに左右に一列にならべるようになったのでしょう。ただ、これが五行を意味するということはあまり意識されていなかった場合もあるようで、ならび方が不自然な例もみられるようです。
 室町・東山文化のころの床飾りの図などの史料をみていると、五軸をならべてもっとも荘重な飾り方としています。「五行」とは記されていませんが、当時の常識からいって五行を意味する五軸であったことは間違いないでしょう。
 写真の作品の軸は、向かって左から火・土・金・水・木となっています。そしてそれぞれに合った意味合いの華を生けています。

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