古流の花だより
2021年06月28日(月) 古流の花だより第28回富山県いけ花作家協会展(5/28~30)その1
富山市の大和富山店の会場で美術作家との共演に古流柏葉会から出瓶されました。
一部の方々を紹介します。
北山理光-北野理征、
河原理佳-門島理紀、
加藤樹恵
2021年06月27日(日) 華林のブログ
言霊の国に生まれて
言霊の国に生まれて…二
蓮の池に 言の葉降りて 水(み)の光
… はすのいけに ことのはふりて みのひかり
美と水、発音(=み)が同じならその語の根源的な意味は同じと言われる。
山梨県富士吉田市、明見湖にて 2021年6月 華林
言霊の国に生まれて…一
蓮の池に 言の葉降りて 美(み)の泪(なみだ)
… はすのいけに ことのはふりて みのなみだ
美の神 は しらやまひめ とも呼ばれる。
福井県、若狭国分寺跡の池にて 1992年夏 感謝します┅ 華林
2021年06月22日(火) 華林苑 花日記
立花の巻物
華林苑には江戸期、明治期のさまざまな生け花の書物が残されています。
写真は立花の巻物です。板行されたもので、奥付(奥書)に出版者の名前があり、柏屋藤九郎と読めそうです。立花家の大住院以信は江戸前期に活躍した名手と言われた人で、この巻物は、以信の花を主に若干の門弟の花をくわえた絵図=作品集から木版をおこしたものかと考えられますが、正確なところはわかりません。残念ながら保存状態はあまりよくありませんが、絵そのものはとても美しい刷色のままです。江戸時代の技術には驚かされます。
立花は室町時代にはじまった花で、室町将軍家の同朋衆のいわゆる古立花(後世に想像で描かれた図はありますが、謎の花とされます)より少し後の時代にはじまったものです。花会などで華美さを競い一世を風靡しましたが、同朋衆の「床の間の花」や江戸初期~中期の「なげ入れ」の考え方とは違い、書画・和歌などの軸と合わせて生けるものではありませんでした。
2021年06月22日(火) 華林苑 花日記
桑 風の華
桑(くわ)の木を彩流華・風の華の省略形、つまり一筆書きのような生け方でいけています。
養蚕(絹織物)の木、またそのまま食べても美味しマルベリーの木ですが、東西の神話にも登場しさまざまな興味ぶかい側面がみられます。木材としても使われ、生薬(漢方薬)の材料にもなり、いくつかの言葉やいいまわしのもとになるなど文化満載の植物です。調べてみれば面白いかもしれませんね。五行の観点からは陰陽の交わりのなかで〝日〟つまり〝陽〟の性格の文化が強い木とも言えます。
いただいた桑の木は水揚げが難しくほうほうのていで生けています。数年前の作品です。
陶花器 … 意匠/華林 制作/前田弥冨 華/華林
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2021年06月19日(土) 古流の花だより
ギボシの生花 (2花5葉)
ギボシ(ギボウシュ=擬宝珠)の生花(せいか)です。〔二花五葉二株右本手〕の生け方です。
ギボシはいろいろな姿で生えています。そんな自然の姿の個性を「生花の形」にするのが古流の生け花です。
葉や花が『宝珠』の姿に似ていることをよろこばれた花で、梅雨空によく映えますね。
作品は古流柏葉会家元之会頭、中保理希。陶の器に。
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2021年06月18日(金) 華林のブログ
徐福伝説 その2 (6月13-14日)
富士山のふもと、富士吉田市は標高800メートル前後、車で入るとあまりその高さを実感しませんが、かなりの高原都市です。ここにも徐福伝説が色濃く残っています。
かつては都留(つる)郡、現在は富士吉田市に属する「明見町」は北斎の富嶽百景では「阿須見村」と記され、読み方はいずれも〝アスミ〟で、この発音が古くから続いていたことが窺われます。また同地は古くはアソダニ(アソダン?=阿曽谷)とよばれ、浅間神社の『浅間』ももとは〝アソヤマ〟(富士山のこと、神社誌などに記載がある)が〝アサマ〟に縮音され、浅間の字があてられるようになったと指摘する向きもあり、どうもこのあたりが真実に近いように思われます。アスとアソ、日本語特有の音韻の転換とも考えられそうです。
さて、明見町にある明見湖は小さな湖ですが、蓮の花で有名です。ここにも徐福は祀られます。「徐福雨乞地蔵」と祀られ、さまざまに習合しながら新たな文化となっていく日本ならではの在り方がここでも顕著です。この小さな祠のご本尊とおぼしき像の前に、前立のように舟に乗った徐福像がありますが、徐福伝説のままに童男などをしたがえ、いかにも古代中国らしく船の上に瓦屋根を頂いた家があるのが印象的です。そして、海の波もしっかりと彫られ、どこか七福神を思わせます。
そしてその近くに、やはり徐福伝説とのかかわりが深い北東本宮小室浅間神社の旧社がひっそりと佇みます。
下の前の項の和歌と写真はここでのもの。
薄暮の富士山、富士吉田市はまさに富士山の一部。
写真はクリック、タップすれば拡大します。
2021年06月15日(火) 華林のブログ
陰暦五月五日 端午の節句 (6月14日)
古宮で
艮の 阿須見の里の 古宮に まします祠 守られし 千歳を越えて 縁ある 人のはかりて 守られし 幾万代の 古の 天祖の 鎮まりし 岐の大神に よごと挙げ 明けまくを祝く 端午の節会
(うしとらの あすみのさとの ふるみやに ましますほこら まもられし ちとせをこえて えにしある ひとのはかりて まもられし いくよろづよの いにしへの あまつみおやの しづまりし ぎのおほかみに よごとあげ あけまくをほく たんごのせちゑ)
華林
明見に祀られる徐福の神様に (… その前には舟に乗った徐福像が置かれる)
長き世の 遠の眠りの 今目覚め 波のり舟の 音のよきかな
(七福神の哥)
… 富士山麓、山梨県富士吉田市にて
2021年06月05日(土) 華林苑 花日記
どくだみ の〝掌華〟
小さな生け花を、手のひら(掌)の華、〝掌華(しょうげ)〟と呼んでいます。掌華では野生のもの、庭のものなどが美しい表情を見せます。大切なのは器えらび。今回は意図あって黒い器をえらんでいます。
生けた場所は金沢の華林苑、6月4日。金沢では今がドクダミの花のさかりです。
一重のドクダミ、八重のドクダミ、葉はそっくりです。八重のほうの器は意匠・華林、制作・前田弥冨。一重のほうはかつて金沢の郊外の倶利伽羅峠のふもとの道の駅のような場所で求めたと記憶しています。(華林)
華/東 真華
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2021年06月05日(土) 古流の花だより
菖蒲とヨモギ、京鹿の子の自由花(なげ入れ調)
菖蒲の葉を勢いよく水盤に生けます。花(穂)も見えます。ヨモギも菖蒲(しょうぶ)と合わせることが多い花材です。ピンクの京鹿の子(きょうかのこ)をあわせています。
作品は古流柏葉会上席師範、東真紫。作品監修は広岡理樹。
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2021年06月05日(土) 古流の花だより
端午の菖蒲
端午(たんご)の菖蒲(しょうぶ)の生花(せいか)です。菖蒲は今が旬です。「端午の節句」もほんらいは旧暦なので、新暦の5月5日より1か月前後おそい今ごろの季節です。
端午の節句、この男の子の節句には昔から菖蒲を生けます。これは沼や池に生える水草で、しょうぶ湯としてお風呂に入れる、香りのよい植物です。花はサトイモ科特有の形をした小さなもので、作品のなかほどに見えます。剣に似た勢いのよい葉の姿とすがすがしいその香りを貴びます。
名前が似ている花菖蒲(ハナショウブ)は別の植物で、葉が菖蒲に似ていて花がカキツバタに似た豪華な花なので花菖蒲という名前がついています。5月22日の項にその作品があります。
作品は古流柏葉会上席師範、蓮井希京。器の意匠と作品監修は広岡理樹。
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2021年06月04日(金) 古流の花だより
四代家元の『ガクアジサイ』
古流の四代家元・関本理恩(四代または五代家元までは古流の家元は一系統しかありません。)は作品集『秀花図式』を出版しようと準備していましたが、幕末の騒乱のなかで実現しませんでした。当家には全ページの詳細な解説つきの元原稿や見本刷りも伝えられています。後に多くの古流の『伝書』が伝えられていきますが、そのもとは理恩家元が記したものです。それらの伝書はほぼ文章だけで記されており、それを補完する資料という意味でも、この『秀花図式』はたいへん貴重なものとなっています。
図はこの季節にあわせて「一重の紫陽花」で、「俗にガク艸と言」と記されています。
掛け花生けに軽い感じの「流生け」です。理恩の図には荘重な作品と洒落た軽い感じの両者がみられます。 (理樹)
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