アジア古来の哲学と自然と芸術

彩流華 華林苑

Sairyuka art and old Asian philosophy rooted in nature.

華林苑 花日記


 

2022年04月23日(土) 古流の花だより

4月20日らくやき体験

古流柏葉会小松支部の有志の方々が廣岡理樹家元(支部長)と一緒に、石川県加賀市のらくやき体験工房で花器づくりを楽しみました。なかには小さなお地蔵様をつくった人もいました。
窯入れは5月初旬とのこと、出来上がりが楽しみです。
指導は荒木実先生。
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2022年04月06日(水) 華林苑 花日記

花器の移り変わり

 江戸期における花器の好みの移り変わりは、その時代の風潮もあらわしていて興味ぶかいものがあります。
 写真は享保五年・1717年の奥付がある『立華道知辺(みちしるべ)大成』のページです。この書は立花の作品図が39点、なげ入れ調のものが4点、ほかに床飾りや道具、その他の図も少なからずあり、解説文だけの頁も多く全部で65頁と、このころのものとしては大部のものです。
 享保年間は江戸前期から中期に移るころで、その半世紀後の明和年間には後に一世を風靡する生花(せいか)がぽつぽつとみられ始めます。享保年間は立花が全盛の時代に生花(せいか)の前段階とも言うべき「なげ入れ」が目立ち始めるといったころでしょうか。この「なげ入れ」調の花は、そのころ増えていった床の間・書院や違い棚などの近世の和風空間によくマッチしており、大広間などで生けられた立花とは違う展開をしていったことがよく理解できます。
 さて、この書の立花の図39点のうち23点は、花器は立花の古図によくみられる口が広がる形をしており、絵の感じでは唐物ふうの青銅器でしょうか。当時のこの種の青銅器は打ち出しが多かったかもしれませんが自信はありません。残りの9点の立花の図の花器は洒落たものやかなり凝ったもので、青銅ではなく陶磁も混じっているかもしれません。形もかなりバラエティーに富んでおり上の写真もその一点です。砂の物3点にも洒落た器がみられます。また、洒落た器の図は解説文をはさんだ後半にまとめてあり、編集の意図がみられます。
 下の写真の花器の図では、上段には青銅や陶磁と思われるものが多く表情は硬め、下段では竹や篭など柔らかい表情のものが目立ちます。他のなげ入れの書もあわせてみると、唐物あるいは唐物風の固い表情のものから、時代とともに柔らかい表情の器が占める割合が多くなっていることが分かります。それと同時に、なげ入れや生花に特有の生け花に詩歌をあわせる形では、漢詩から和歌へと比重が変化していることも分かります。つまり、国風化の流れがみられるのです。
 平安時代に経験したような国風化の流れが、生け花の周辺の文化でも江戸時代中期以降ふたたび顕著にみられることは特筆すべきことかもしれません。それは「国学」の隆盛とも軌を一にしています。
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『立華道知辺(みちしるべ)大成』から立花の図と花器の一覧。詳細は本文に。前々回にも言及。


 

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