アジア古来の哲学と自然と芸術

彩流華 華林苑

Sairyuka art and old Asian philosophy rooted in nature.

華林苑 花日記


 

2024年04月26日(金) 古流の花だより

富山新聞文化センターカルチャー祭り2024が3月16・17日高岡文化ホールにて開催されました。

水野社中 順不同
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水野渡月、大窪孝心、中田奈津穂
森沢社中 順不同
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森沢華穂、野上妙葉、関澤倭草
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杉本宏穂、浅野孝穂、前沢道子


 

2024年04月25日(木) 古流の花だより

4月24~26日金沢市 田井菅原神社にて

家元家所持の天神像をお預けしている神社で、以前には「華の会」を開催させていただきました。
献花した方々です。
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森川理青、奥村千洋、二口佳笑


 

2024年04月25日(木) 古流の花だより

富山新聞文化センターカルチャー祭り2024が3月16・17日に高岡文化ホールにて開催されました。

出瓶された方々です。順不同
北山社中
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北山理光、河原理佳、門島理紀
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山田宏穂、加藤樹恵


 

2024年04月09日(火) 古流の花だより

3月29日石川県小松市埴田町会館 桜をみる会にて

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前出理榮


 

2024年04月05日(金) 古流の花だより

秀作の紹介 … 直立型応用花 二作

直立型応用花は、真前などをまっすぐに立て、真・流・受の主な枝を生花(せいか)の三方向に出し、各枝、下枝を加えるものです。
独特の立体感や、各材料の個性・出生をできるだけ大切にします。
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右受流型 山崎理惠
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右本手型 干場成樹
三月、金沢エムザにて。石川県。


 

2024年04月05日(金) 華林のブログ

武家文化の源流と意味 その二 モノノベ(物部)

江戸・東京の霊的構造 その17
-武蔵の国の中の〝ヤマト〟


  古代に活躍した『物部』の一族のことはよく知られます。物部氏が奉斎し、物部氏の氏神とされることもある石上神宮(いそのかみじんぐう)は奈良県天理市にあるたいへん古い神社です。
  ここには古墳時代から江戸時代以降までの多数の鉾、刀の類が納められています。なかでも有名なのがそこに刻まれた銘文から『七支刀』と呼ばれる刀(鉾・剱)です。明治の初めに同神宮の禁足地から発見され、日本書紀にこの刀のことと考えられる記述があるとこから大きな話題をよんだそうです。
  銘文にはこの鉄製の刀がつくられたのは三六九年、そして当時の朝鮮半島の一国・百済(くだら)の王が倭国の王に贈る、と刻されているそうです。
  この七支刀はマツリゴトに用いられる性格のものと考えられ、三種の神器の原型とされる古代の数多くの剱・刀と同じ意味合いの刀である可能性が高いでしょう。
  あまり指摘されないことですが、「支」はほんらい「月」にまつわる漢字です。つまり陰陽でいえば「陰」で、古代アジアの哲学からすれば陰を七個そろえるのは「北斗七星」を神格化していると考えるのが妥当でしょう。北斗七星は、月とならぶもう一つの陰の象徴・北極星の「乗り物」とされ、ときに北極星以上の強い信仰の対象となっていました。
  北斗七星がときに北極星以上に強い存在感をもつことがあるのは、それが天の中心の近くで回転していることを如実に感じさせるものだからでしょう。それは地が回転することへの畏怖でもありました。「地動説」と同様の考え方が古くからあったことは、一般にはあまり知られていません。
  北斗七星の模様がほどこされた刀・剱はいくらも存在し、刀の霊力を増す模様とも考えられますが、同時に、古代から祭りごとの主役の一つであった「刀・剱」の性格や意味を示唆するものとも言えそうです。つまり、刀や剱がどのような神霊の依り代だったかを類推する手がかりにもなるかと考えられます。吉野裕子氏も指摘しているように、古代の大嘗祭の一連の祭りごとでもある御禊(ごけい)において、「床子」(後世の『床の間』の原型と考えられる)が二つならべられ、一つには天皇が、他の一つには「剱」が置かれた例がみられ、そこには強い示唆を感じさせるものがあります。たぶん、南北朝のころまでは、ここに示唆される神霊への意識が、代々の天皇によってその強弱の差はあるにせよ、あったものと考えられます。
  このように、古墳時代から古代へと、「祭祀のための刀・剱」の文化は引き継がれていきます。そしてその担い手となった有力な氏族が物部氏でした。ある時代までは天皇(天皇という名称がどのように使われていたかには異論があるでしょうが、とりあえず統治者の意味で用います)の祭りごとの中心的な役割をはたしていたと考えられます。そして同時に、武器としての刀を多数所有、管理していた氏族とも考えられており、つまり国家における中心的な祭祀と武力をあわせ持つ存在でした。
  物部氏は、古事記・日本書紀の記述では突如として歴史の表舞台から悪者として消え去ります。古事記・日本書紀の七世紀ころまでの記述には不自然な点が多いと指摘されることが多いようですが、とくにこの物部氏や聖徳太子の時代については、後世に展開される信仰や文化の形からみるとまさに疑問や不自然さを感じざるをえないストーリーがいくらかみられます。
  ともあれ、前回で説明した前方後円墳に特有の文化といえる『琴を弾く男子』の、例外なく「刀」を佩帯している姿、古代の倭琴と同じ五弦の琴を膝に置いていること、などをみると、これは間違いなく物部氏と同じ種類のもの、というより物部氏そのものと考えざるをえないでしょう。物部氏に代わるものは見あたらないのです。
  琴は古代には他の楽器とちがい高貴なものとされました。笙や篳篥が庭で奏でられ、楽器の中で唯一軒の内側にあったのは琴です。その理由は、人の声の伴奏のための楽器だからです。つまり、もっとも高貴なのは人の声であり、その伴奏をする琴もまた、渾然一体となったものだったのです。語源についても、琴=コトは、言=コトからきていると言われます。発音がまずあり、そこから派生的に漢字があてられたというヤマト言葉に特有の事情です。
  人の声が貴いという考え方は、和歌や神楽歌などの文化に受け継がれます。和歌即真言など、和歌の言葉には強い呪力が込められていると考えられました。同様の感覚は、ナムアミダブツなどの称名・念仏、真言や呪、神道における祝詞など、言葉を発声して神仏をよぶ、発声によって神仏の力を具現化するという「言霊」の思想と言い換えることができます。万葉集などにも出現する「言霊」という言葉は、かつての祭りごとなどにおける人間の声の重要さをよく示しています。
  そして、物部氏の文化にも「言霊」とふかい関わりがあることが知られます。『先代旧事本紀』(せんだいくじほんぎ)は偽書論争の渦中にあったこともある物部氏にまつわる書ですが、碩学・鎌田純一氏は前書きだけは偽書とすべきものだが、本文は本物だとしています。(古書の『偽書』という呼び方には注意が必要で、また『本物』といっても内容がすべて真実だという意味ではありません。念のため)先代旧事本紀の偽書論争が実質的に盛んになったのは明治以降だろうという鎌田氏の指摘は、廃仏毀釈と同じ理由でおこなわれた宗教政策の一環と考えれば自然なことかもしれません。折口信夫の日本神学の分野における一番弟子だったとも考えられる鎌田氏ですから、かなり深い見識があったものと思われます。その先代旧事本紀には、物部氏における「言霊」による祭りごとの具体的なあり方がみられますが、この書に限らず、物部氏の祭りごとの本質が「言霊」であることは多くの点から類推できます。
  江戸時代などにおいても「モノノフ」は武士を表現するヤマト言葉でしたが、これを漢字で表記すると「武士」であると同時に「物部」でもありました。今日の国語辞典をみても「モノノフ」に相当する漢字には両者が載っています。刀は武士の命、といった哲学には、たんに武器としての刀ではなく、同時に、古来つづく刀の霊力や特定の神霊の依り代としての刀、という意識は強かったでしょう。またそれは、「言霊」による祭りごとと渾然一体となったものでした。徳川家康に顕著に見られる、能や天台宗・浄土宗の呪・念仏など、言葉や言霊的なものへの強い意識や哲学は古代の物部氏と共通しているのです。それらは別の角度からみれば、陰陽五行の哲学のなかの「金」の力、「金神」への信仰ともいえます。
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七支刀。明治初頭、石上神宮の禁足地でみつかった。
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奈良県天理市の石上神宮(いそのかみじんぐう)の楼門。この後方に七支刀が埋められていた禁足地がある。
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石上神宮拝殿。古代の物部氏の氏神とも言われる。剣に宿る神・フツノミタマを主祭神とする。
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石上神宮の鏡池。各写真は二〇一〇年三月撮影。


 

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